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錬金術
Alchemy(英)/Alchimie(仏)/Alchimia(伊)/Alchemie(独)

 「何か」を別の「何か」に変性させる技術。
一般的には卑金属に変性させるものとして知られていますが、究極的には人体の生成や、魂の解放にまで言及されています。

 「Alchemy」という言葉は、「エジプト生まれの英知」という意味のアラビア語が元になっていると考えられます。
ローマ帝国やビザンツ帝国では公認の学問として認められていたこの錬金術ですが、後に台頭するキリスト教によって、迫害の一途を辿ることとなります。
「人間は神が創った」「魂の救済は神が行う」とするキリスト教にとって、人造人間ホムンクルスの製造や、魂や精神の解放を行うとする錬金術は都合が悪かったようです。

 この後錬金術は一旦イスラム世界に流れ込みますが、十字軍の遠征などで再び西洋世界に逆輸入されることとなります。
 「錬金術は科学である」という釈明から表面上の妥協をしていたしていたキリスト教でしたが、キリスト教を批判したとしてパラケルスス(※)が追放されるなど、やはり対立は避けられなかったようです。
本名「テオフラトゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバトゥス・フォン・ホーエンハイム」。
「パラケルスス」というのは、「ケルスス(高名な医者)を凌ぐ」という意味。

 錬金術は、エンペドクレスが提唱した四大元素(地水火風。厳密には愛(フィリア)と憎しみ(ネイコス)を含めた六元素)が基本的な考え方となっています。すなわち全ての物質はこの4つの元素から構成されているとされます。
これを四大精霊として魔術化したのがドイツ人のパラケルススでした。
土の妖精ノーム」、水の精霊ウンディーネ」、の大蛇「サラマンダー」、風の妖精シルフ」がこれにあたります。
また、ホムンクルス賢者の石エリクサーなども、このパラケルススによって完成されたとされています。

 余談ですが、タロット大アルカナに描かれている魔術師の絵柄も、このパラケルススがモデルとなっています。