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Heat(英)/Chaleur(仏)/Calore(伊)/Wärme(独)
冷気
Chill(英)/Froid(仏)/Freddo(伊)/Kühle(独)

 熱とは、簡単に言うと物質を構成する分子の運動の激しさのこと。
厳密にはそれは「熱エネルギー」と呼ばれ、「伝導」「対流」「放射」(下記)のいずれかによって他方に移動する「流れ」を「熱」と定義します。
なお「温度」は「分子の質量×速度の2乗」で求まります。
つまり同じ温度なら軽いものの方が分子の運動は激しく、同じ激しさなら重いものの方が温度は高くなります。
持ち上げたボールでこれらを例えると、ボールの高さ(位置エネルギー)が「熱エネルギー」、落とした際の運動エネルギーへの変化が「熱」、落ちた際の衝撃が「温度」のようになります。

伝導

物質の移動を伴わずに、熱エネルギーが高い方から低い方へ移動すること。
対流運動の激しい分子はその運動により上方へ移動し、逆は下方に沈殿する。
その作用によって熱エネルギーが物質と共に移動すること。
放射電磁波()によって熱エネルギーが移動すること。
これにより太陽の熱が地球に届くように、間に物体のない真空中でも熱が伝わる。
この際のは温度が高くなるにつれ赤→黄色→白→青白→青と、暖色から寒色へと変遷していく。
これを色温度といい、を放つ物質によってここに別の色味が加味される。

 この分子の運動が完全に止まった状態の理論上の温度は「絶対零度」(0K/-273.15℃)と呼ばれます。
現在観測的にはこれより下の温度はないとされますが、仮に他者の熱を奪ってなお絶対零度を保つような現象が確認されればマイナスの絶対度が定義される可能性はあります。
またこれとは別に、統計力学では無限大よりも高い温度のことを便宜上マイナスの温度と定義して用いることがあります(「負温度」)。

 逆に分子の運動が光速に達した状態の理論上の温度は無限大となります。
なぜなら速度は光速に近くなるとそのエネルギーは物質が持つ質量を増大させるのに利用されますが、質量のある物質が光速に達するとその質量が無限大となるため、先述の式により「無限大×光速の2乗=無限大」となるからです。
しかし質量を持つ物質は光速になれない(質量を無限大にするための必要エネルギー量が無限大である)ため、物質の温度が無限大以上になることはないとされます。

それぞれの現象の温度の目安
 温度(℃)補記
冬の南極点-60℃ボストーク基地の-89.2℃が観測史上最低。
大陸の端の方では夏は0℃強まで上がる。
冬の北極点-40℃北極圏の夏の最高気温は10℃。
水が凍る温度0℃純水で1気圧下の場合。なお凍る際に一度4℃まで上昇する。
最高気温の記録58.8℃イラクのバスラ(1,921)。
1秒で火傷65℃45℃以上で火傷の可能性。
水が沸騰する温度100℃純水で1気圧下の場合。
揚げ油の発火温度370℃ 
マグマ1,000℃800〜1,200℃。
炭化水素の1,200℃ろうそくや焚き火などいわゆる「ものを燃やした」。
中心は600℃。先端が1,400℃。
鋼鉄の融点1,400℃ 
の融点1,500℃ 
黒色火薬(〜1,785)1,700℃硝酸カリウム+硫黄
都市ガスの1,800℃ 
黒色火薬(1,786〜)2,200℃上記+塩素酸カリウム。
ニトログリセリン4,000℃ 
原爆5,000℃広島型で3,000〜6,000℃と推測。
太陽の表面6,000℃ 
蛍光灯1万℃内部のプラズマ
2〜3万℃ 
最も熱い恒星5万2千℃HD93129。
高温の最高記録5億2千万℃日本原子力研究所、臨界プラズマ試験装置「JT-60」(1,996)。
高温の最高記録4兆℃理化学研究所ほか、重イオン衝突型加速器による金原子同士の衝突(2,010)。