鉄/鐵/銕/黒金(/鉃)/アイアン Iron(英)/Fer(仏)/Ferro(伊)/Eisen(独) 鋼/鋼鉄/刃金/スチール Steel(英)/Acier(仏)/Acciaio(伊)/Stahl(独) 玉鋼(極少量精製される最上級の鋼) Tamahagane(日) ダマスカス鋼/ウーツ鋼 Damascus Steel(英)/Acier de Damas(仏)/Acciaio Damasco(伊)/Damaszener Stahl(独) Wootz Steel(英)/Wootz(仏)/Acciaio Wootz(伊)/Wootz(独) |
呼称 | 炭素 | 硬度 | 展性 | 融点 | 補記 | |
純鉄 | Pure Iron | 〜0.02% | 軟らかい | 粘る | 1,535℃ | |
錬鉄 | Wrought Iron | 〜0.1% | 軟らかい | 粘る | 1,530℃ | 「鍛鉄/可鍛鉄」(鍛えることのできる加工前の鉄)とも。 |
軟鉄 | Mild Steel | 〜0.3% | 軟らかい | 粘る | 1,480℃ | 中世で一般的に用いられていた鉄(加工後)。 |
鋼鉄 | Steel | 〜2.0% | 適度 | 適度 | 1,400℃ | 1.6%で強度最大(ウーツ鋼/ダマスカス鋼)。 |
銑鉄 | Pig Iron | 〜5.0% | 硬い | 脆い | 1,200℃ | ケイ素を1.0〜3.0%含むと「鋳鉄(Cast Iron)」。 |
発祥時期と地域 | 手法 | 補記 |
紀元前4,000年頃 シュメールのウル(現イラク) | 隕鉄を直接叩いて加工 | 隕鉄の採取は偶然性が高いため、儀式用の高価な装飾品に。金より高価。 当時のシュメールの言葉で鉄は「Anbar(天の金属)」。 |
紀元前1,600年頃 ヒッタイト帝国(現トルコ) | 自然送風やフイゴで800度まで加熱し 発生した一酸化炭素で酸化鉄を還元する | ヒッタイト崩壊の紀元前1,200年以降にアッシリアを経由してオリエントやヨーロッパ各地に。 アッシリアが先に製鉄技術を持っていたという説もあり。 |
紀元前5世紀頃 中国 | 水車で送風して1,200度まで上げる 「爆風炉」 | 中国のみで用いられた技術。 炭素を含んだ銑鉄であればこの温度で溶融できる。 |
紀元前300年頃 インド | (不明) | 最強の鋼、ダマスカス鋼(ウーツ鋼)の開発(時期については諸説あり)。 以後1,700年頃まで製造され、その後製法が失われる。 |
4世紀頃 北魏(中国) | 木炭に代わりコークスを用いる | コークスとは石炭から硫黄などを抜いたもの。 木炭や石炭の炉よりも高度な炉が必要となる。以後中国のスタンダード。 |
15世紀 ジーゲルランド(ドイツ) | 水車で送風して1,200度まで上げる 「木炭高炉」 | 西洋での初の溶鉱炉。大量の木材を必要とし、森林伐採が深刻化。 広大な森林を有する国ほど鉄資源で優位に。 後に石炭が用いられるものの、硫黄を含む問題が。日産1トン。 |
1,678年 イギリス | 燃焼室と精錬を行う炉床が別の炉 「反射炉」 | 不純物を除去できるので石炭をそのまま使用できる。 |
1,709年開発/1,735年操業 イギリス | 木炭に代わりコークスを用いる 「高炉」 | 1,620年頃にダッド・ダドリーが開発した西洋初のコークスを使用した実用炉。 蒸気機関使用。日産4.5トン。 |
1,783年 イギリス | 燃焼室と精錬を行う炉床が別の炉 「パドル法」 | 反射炉で溶融した鋳鉄を撹拌(パドル)することで炭素を除去するもの。 炭素を除去すると融点が上がり、固まった錬鉄が得られる。 現在も鉄以外では現役の方式。時産7トン。 |
1,856年 イギリス | 回転するコップのような形をした炉 「ベッセマー転炉」 | 鋼を大量生産できる初めての炉。時産50トン。 リンや硫黄が少なく、ケイ素が多い鉄鉱石しか使用できない。 |
1,878年 イギリス | 〃 「トーマス転炉」 | ベッセマー転炉の内張りを酸性酸化物から塩基性酸化物に変えたもの。 リンや硫黄が多く、ケイ素が少ない鉄鉱石しか使用できない。 |
1,856年考案/1,864年確立 イギリス/フランス | 反射炉の平型炉 「平炉」 | 銑鉄と屑鉄と燃料で不純物を除去できる炉。 これによりどんな鉄鉱石でも使用可に。現在も一部地域で使用。 |
1,948年スイス 1,970年代アメリカ 1,980年代 | 「純酸素上吹転炉(LD転炉)」 「純酸素底吹転炉」 「純酸素上底吹転炉」 | 上から酸素ガスを吹き付けて加熱する。 下から酸素ガスを注入し、加熱と撹拌を行う。故障多し。 上から酸素ガスを吹き付け、下から不活性ガスで撹拌する。現在の主流。 |