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四天王
Four Lords(英)/Quatre Seigneurs(仏)/Quattro Signori(伊)/Vier Herren(独)

 本来は仏教における天界の4守護神(Four Heavenly Kings)を指す言葉。
東方守護の持国天、南方守護の増長天、西方守護の広目天、北方守護の多聞天(意訳)/毘沙門天(音訳)から成ります。

 一方創作物では、通常「それぞれ異なる分野に秀でた4人」を指して用いられます。
4人以外の場合は別の呼称も用いられますが、他の既成語が「四天王」と比べてあまり一般的ではないこともあり、創作物によってその名称はまちまちとなります。
以下、類語として利用可能な既成語の例。
呼称補足
2双璧「優劣のつけがたい二者」の意。
3三傑ある特定の時代の大きな出来事を語る際、最も活躍した3人を指して用いられる語。
維新の三傑」「徳川三傑」「伊達三傑」など。
三羽烏「ある特定の分野に優れた三者」の意。
スポーツのトッププレイヤーに用いられることが多い。
三英傑織田信長豊臣秀吉徳川家康を指して用いられた呼称。
英傑」とは「英雄豪傑」の略で、「知恵や勇気に優れた者」の意。
御三家「最も高く格付けされた三者」の意。
江戸時代の尾張徳川家紀州徳川家水戸徳川家がこう呼ばれたのが元。
三銃士フランスの小説『Les Trois Mousquetaires』(1,844)の訳語。
三賢者
三賢人
三博士
メイジ」参照。
三兄弟
三姉妹
一般に「血縁を含む強い絆で結ばれた三人組」で用いられる語。
語は戦国時代の「浅井三姉妹」が元か。
5五大将織田四天王(柴田勝家丹羽長秀滝川一益明智光秀)に羽柴秀吉を加えて以降の呼称。
五本鑓関ヶ原の戦い(1,600)で活躍した5人の武将を称えた呼称。「小返しの五本鑓」。
七本槍」の亜種。
6六老僧日蓮宗日蓮の弟子の中で、最も優れた6人。
および浄土真宗親鸞の弟子の中で、最も優れた6人を指して用いられた呼称。
7七本槍戦国時代の特定の合戦において活躍した7人の武将を称えた呼称。
賤ヶ岳の七本槍」「小豆坂七本槍」など多数の用例あり。
ここからの派生で、「十本槍」「十本刀」などの流用例あり。
七将豊臣秀吉配下の7人の猛将(→しちしょう)。
古代ギリシアの都市テーバイを攻めたアルゴスの7人の武将(→ななしょう)。
「○将」という呼称は他にも「西園寺十五将」「越後十七将」「毛利十八将」「武田二十四将」「上杉二十五将」「雲台二十八将」など様々な用例あり。
七人衆畠山家8代大名畠山義続に取って代わって政治を執り行った7人の重臣
七雄中国戦国時代の君主およびそれらが治める国。
日本の戦国時代の織田信長豊臣秀吉武田信玄上杉謙信今川義元北条氏康毛利元就
室町時代末期から戦国時代にかけて土佐国に存在した7つの氏族。など。
七賢人賢者」参照。
七姉妹ギリシア神話のプレイアデス七姉妹。その訳語。
七哲千利休の弟子の中で、最も優れた7人。「利休七哲」。
8八部衆仏法を守護する8つの神族のこと。「天龍八部衆」「龍神八部衆」。
一般に阿修羅夜叉龍、迦楼羅乾闥婆緊那羅摩睺羅伽の8種族。
類語として、日本の仏教における千手観音眷属を指して「二十八部衆」という呼称あり。
八虎後述「黒田二十四騎」の内、特に優れた8人。
八仙道教において最も代表的な8人を指して用いられた呼称。
9九偉人フランスの叙事詩『Les Voeux du paon』(1,312)に記された、騎士道を体現するとされる9人の偉人
アーサー王、カール大帝、ユリウス・カエサル、アレクサンドロス大王など。
九老僧
九鳳
日蓮宗日朗聖人の弟子の中で、最も優れた9人を指して用いられた呼称。
10十傑「ある分野で優れている10人」の意。明治維新に尽力した10人を指して用いる呼称。
『ジャイアントロボ』にて「十傑集」という亜種あり。
十勇士戦国大名尼子氏の滅亡後、その復興に尽力したとされる10人の勇士。
語は「真田十勇士」の方が有名だが、こちらの呼称は大正時代につけられたもの。
十王仏教および道教において、地獄の裁判官を務める10人の王。日本では「十三仏」。
閻魔大王がその1人。
十大弟子仏教釈迦の弟子の中で、最も優れた10人を指して用いられた呼称。
十哲「10人の賢い者」の意。ある人物の弟子の中で最も優れた10人のこと。
12十二神将仏教における12人の武神。十二夜叉大将十二神明王とも。
恐らくはこれを元として、「徳川十六神将」「徳川二十八神将」などの流用例あり。
(十二月将)中国の占いで用いられる黄道指標黄道十二宮十二支に対応。
十二天将陰陽師安倍晴明が設けた、上記十二月将の亜種。
北極星を中心とした12のや星座を神格化したもの。
十二勇将
十二臣将
パラディン」参照。
十二使徒キリスト教のキリストの弟子の中で、最も優れた12人を指して用いられた呼称。
『魔術師オーフェン』『魔法科高校の劣等生』などで「十三使徒」という流用例あり。
24二十四騎黒田長政の配下の24人の精鋭。黒田二十四騎
47四十七士吉良邸討ち入りに参加した47人の浪士忠臣蔵赤穂浪士

 四天王は「4人の配下」であることが多いですが、「4人のトップ(四大○○)」である例も珍しくありません。
また、「1人のトップと3人の配下」や、「4人目が流動的に変わるため実質5人以上いる」といった例もあります。
余談ですが創作物以外ではもっぱら「四大○○」の意味で使われ、例えばラーメン店など絶対的な評価基準が存在しないものに対して、番付を行わずに単に「上位4店舗」とできる語として重宝されます。

 四天王は四大元素になぞらえ、そのそれぞれの性質(火、土、水、風)を付与される例が多く見られます。
この四大属性は創作物で好んで用いられるもので、語「四天王」がその地位を獲得した理由の1つと考えて良いでしょう。
これら属性は保有能力以外でも例えば、火は熱血で実直、土は怪力で単純、水はクールで頭脳派、風は身軽でフランクといった具合の性格分けにも用いられます。
また性格分け以外では、「紅一点(唯一の女性)」というパターンが比較的多く見られます。

 余談として、火の朱雀、土の玄武、水の青龍、風の白虎といったように各人の固有名に中国の四神が引用される例が多く見られますが、四神は四大元素ではなく五行説であるためこれは誤りとなります。
正しくは朱雀が火、玄武が水、青龍が木、白虎が金、そして黄龍が土となります。
ただの名前であればそれほど気にする必要はないかもしれませんが、四神そのものを引用する場合は留意しておいた方が良いでしょう。