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ナイト/シュバリエ/騎士
Knight(英)/Chevalier(仏)/Cavaliere(伊)/Ritter(独)

 ヨーロッパに侵攻したイラン系遊牧民族サルマタイ諸部族重装騎兵を元に成立したとされる中世ヨーロッパの戦士。
主君とする貴族の領地を貸し与えてもらう代わりに、軍事方面への奉仕を約束する存在(恩貸地制度封建制度)。
給金はその貸し与えられた領地が全てで、そこからの収入で軍備の維持まで全てを賄います。
明確な発生時期は不明ですが、4世紀頃には既にあったものと見られます。

 後に彼ら騎士にはナイト(騎士爵)としての称号が与えられるようになりますが、こちらの成立時期も不明。
ただしその称号が強い意味を持つようになるのは、13世紀以降となります。
これは兵士の主流が騎士から傭兵へ移行していったこと、それにより封建制度が崩れ始めたことが要因で、その中で権威を維持するためには貴族相当の肩書きが必要となったためです。

 このナイトの称号は一代限りのものですが、金銭面や訓練環境の都合上、騎士となれる者は騎士の家の者にほぼ限定されていたため、事実上の世襲制となります。
このあたりの事情は例えるなら、医者や政治家などと同じようなものと思って良いでしょう。
このナイト爵は現代においても残っていますが、今日のこれは日本の国民栄誉賞のようなもので、各方面で多大な活躍をした人物に授与される一代限りの栄誉として扱われます。

 なお騎士の名前に「フォン(von)」が入っている例がよく見られますが、これは名字という概念がなかった時代のゲルマン(ドイツ)で、「○○の土地の誰々」という呼び方をしていた名残。「〜の」という意味で、英語の「of」と同じ意味。
後に形骸化し、騎士となった者の称号的な扱いに。
英語では前置詞「Sir」がこれに相当するもので、フランスでは「de」が類似の概念となります。

 「Knight」の語源は古英語で「使用人」を意味する「Cniht」、「Chevalier」および「Cavaliere」はラテン語で「騎手」を意味する「Caballarius」、「Ritter」は英語の「Rider」と同じで、これも「騎手」に由来します。