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ゴブリン
Gobelin(仏)/Goblin(英)/Goblin(伊)/Goblin(独)

コボルト/コボルド
Kobold(独)/Kobold(英)/Kobold(仏)/Coboldo(伊)

ホブゴブリン
Hobgoblin(英)/Hobgobelin(仏)/Hobgoblin(伊)/Hobgoblin(独)

ブラウニー
Urisk(スコットランド)/Brownie(英)

レプラコーン
Leipreachán(アイルランド)/Leprechaun(英)

 ゴブリンはヨーロッパ各地で様々な特徴で語られるいたずら妖精。小鬼。
ギリシア語で「ならず者」を意味する「Kobalos」より。
人間の子供以下の身長で描かれる点で共通しており、コボルトの訳語とされる例が多く見られます。
他にもノーム、ブラウニー、時にドワーフや小型のオークなどとも同定される語で、これら小人族の総称的な存在。

 近年の作品では、人間の大人と同程度の亜人種として登場する例も見られます。
しかし姿がどうであれゲームにおいてはまず例外なく最初期の雑魚として登場し、これより下に別途コボルトが置かれる例を除いて、再弱のヒューマノイドモンスターとして位置づけられます。


 コボルトはドイツに伝わる屋敷しもべ妖精で、「家」を意味する「Kobe」と、「友好的な」「献身的な」「忠実な」などを意味する「Hold」より。
彼らは家を守り、家の住人には決して敵対せず、家の仕事をこなすことで金銭を得ます。
恐らくは異民族の使用人が元となった存在で、しばしばブラウニーやレプラコーンと同定されます。

 後にコボルトは「魔法で鉱山の卑金属にすりかえていたずらをする妖精」とされるようになり、その「卑金属」が現在「コバルト(Cobalt)」として呼ばれるに至ります。
TRPGの『D&D』では小型の爬虫人類として設定されましたが、ワニのような口の飛び出た顔が初期のコンピューターゲーム『Wizardry』においてその表現上の限界もあり犬のような容姿となり、以降犬型亜人としてのイメージが強くなります。

 レプラコーンとブラウニーとホブゴブリンは、いずれもイギリスの先住民がモデルとされています。
アイルランドのレプラコーンは「片足の粗い革靴」を意味し、グリム童話『小人の靴屋』に登場する小人がこれにあたります。
スコットランドのブラウニーは先住民の茶色の服、または茶色い体毛を指しており、日本語で言うと「茶色さん」の意味になります。
スコットランドのホブゴブリンはゴブリンの中の特定種を指し、一般的なゴブリンよりは友好的で、ブラウニーよりは敵対的とされます。

 彼らはミルクなどの報酬で家事を手伝う小人妖精とされていますが、これは金銭概念がなかったイギリス先住民に対し、物品の謝礼で労働力を借りていた姿を描いていると言われます。
ただし、彼ら先住民は自分たちの民族衣装に誇りを持っており、そのため衣類を謝礼として渡そうとすると、自分たちの文化をないがしろにされたと腹を立て、家を去ったとされています。

 これらイギリスの妖精はいずれも清教徒によるフォークロア(民間伝承)追放運動によって、邪妖精、あるいは小鬼として姿を変えることとなります。
なお近年のゲームなどにおいてのホブゴブリンは、ゴブリンの上位種とされる例が目立ちます。