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馬鈴薯/ジャガイモ
(Irish )Potato(英)/(White )Potato(米)/Patate(仏)/Patata(伊)/Kartoffel(独)
(大地のリンゴ)
Ground Apple(英)/Pomme de Terre(仏)/Mela di Terra(伊)/Grundbirne(独)/Erdapfel(スイス)

薩摩芋甘藷
Sweet Potato(英)/Patate Douce(仏)/Patata Dolce(伊)/Süßkartoffel(独)

 根を食用とする根菜類の中で、澱粉蓄積することによって地下茎肥大化したもので、種子を使わずとも根だけで繁殖することができるもの。イモ類。
その中でも馬鈴薯は近世ヨーロッパにおいて非常に重要な役割を果たした植物で、世界三大穀物である、米、トウモロコシを含めた「世界四大作物」の1つとして数えられます。

 馬鈴薯自体は紀元前8,000〜5,000年の頃からペルー南部において栽培されていましたが、それがヨーロッパに伝来したのは1,570年頃。スペイン人によるもの。
見た目の悪さや、部位により微弱ながらがあることなどもあり当初はあまり普及しませんでしたが、各地の王侯貴族らが強要やキャンペーンを行うなどして小作農栽培させたことで爆発的に普及。現在に至ります。
これは庶民馬鈴薯を食べさせることで、自分らの懐に入るの量を増やす目的がありました。

 馬鈴薯根菜類であるためのように戦で踏み荒らされても収穫に影響がなく、収穫量でもその小麦の3倍に上り、寒冷地や痩せた土地でも栽培できるため、それら諸問題を孕んだヨーロッパでは都合の良い作物でした。
またビタミンCが豊富で長期保存が利くため、馬鈴薯はその後17世紀半ばまで続く大航海時代壊血病予防に貢献しました。
馬鈴薯はリンゴの5〜10倍のビタミンCを持ち、「大地のリンゴ」という異称はこれに由来すると考えられます。
なおこのビタミンCは澱粉に守られているため、加熱しても壊れにくいという利点があります。

 しかし連作障害やセンチュウによる生育阻害が発生しやすいため、この辺りには注意が必要でした。
特にセンチュウは卵の状態で長い期間土中に潜伏できるため、根絶容易ではありません。
また普及の際は予め指導しておかないと、ミニトマトに酷似した有毒の実の方を食してしまったり、日の当たる場所で保管することで同じく毒性を持つ芽や緑の皮が生じてしまうなど注意が必要です。


 なお同時期、同じく南米よりサツマイモも運び出されていますが、こちらは寒冷地での栽培が難しいからかヨーロッパでは普及しませんでした。
しかしそのままフィリピンに伝えられ、以後アジアを中心に栽培が行われています。

 語「Potato」はタイノ語(西インド諸島)でサツマイモを意味する「Batata」と、ケチュア語(ペルー)で馬鈴薯を意味する「Papa」を合体させたスペイン語「Patata」に由来します。
一方ドイツ語の「Kartoffel」は「大地のトリュフ」を意味するスペイン語「Turma de Tierra」から古イタリア語「Tartufolo(トリュフ)」を経由したもの。
馬鈴薯」は「マレーのイモ」、「ジャガイモ」はそのマレー諸島の1つであるジャワ島の「ジャガタラのイモ」がそれぞれ語源であるとする説が有力です(オランダ→オランダ領ジャワ島→日本)。