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奴隷
Slave(英)/Esclave(仏)/Schiavo(伊)/Sklave(独)

農奴
Serf(英)/Serf(仏)/Servo(伊)/Leibeigener(独)

 奴隷とは、他の人間に所有され、自由意志を許されず、道具として使用される人間のこと。
征服した地域の女子供やその子孫、および捨て子などの浮浪者らが回収され、奴隷として売却されていきました。
奴隷謀反に成功するか、主人によって解放されるか、法の改正などによって解放される以外は半永久的に隷属化され、主人の指定する仕事に無償従事することとなります。

 奴隷制度は有史以前で既に広く世界中にあった文化と見られ、国や時代により定義も様々です。
奴隷の売却、殺害、解放が行えるかどうかはその国の法に従います。
割合的には農場や鉱山での作業、性的奉仕、生贄などが主ですが、行う仕事の内容に特に制限はありません。
技能を身につけさせて家庭教師や医師をやらせた例もあり、またそのような高い技能を持たせた奴隷は高値で売却できました。

 奴隷は古代ローマで全人口の25%(うちイタリアでは35%以上)、1,086年のイギリスで10%存在したとされています。
奴隷制度は1,948年12月10日に国連によって禁止されるに至りましたが、2,005年現在でなお事実上の奴隷が2,700万人はいると推定されています。


 なお似た言葉に「農奴」というものがありますが、これは成立からして全くの別物です。
奴隷が元々身分のない(とされる)人間を隷属化したものであるのに対し、農奴は自由身分を失った元農民を指して用います。
後期ローマ帝国で生まれた概念で、中世ヨーロッパでは農奴が農民の一般的な身分でした。

 農奴は主人である地主の土地から移動できないことと、地主が土地を売却する際は農奴もセットで売却されることを除けばただの小作人(地主から借りた土地で農業を行い、地主に税を納める農民。小作農)と同義で、言語によっては両者は区別されません。
婚姻は自由で財産も所有でき、後にその財産自作農(自分の土地を有した農民)や地主になる例も見られました。