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鉛/青金
Lead(英※)/Plomb(仏)/Piombo(伊)/Blei(独)
「導く(Lead)」と同じスペルで異なる発音。

 原子が放射性崩壊を続けた最終的な結果となることの多い金属(※)。
そのためそれなりの量が存在し、を精製する際の副産物として得られるなど容易に採取でき、かつ極めて柔らかく融点も低いなどの扱いやすさから古代から人類に用いられてきた金属の1つ。
卑金属の中では重めの部類で、表面は錆びやすいものの内部まで侵食しにくいという特性を持ちます。
原子は時間経過によって核を構成する陽子の数(→原子番号)が減り下位のそれに変化する。
変化しやすさは原子やその同位体(繋ぎとなる中性子数)によって異なっており、最終的に鉛やに落ち着く。

 古代の主な用途としては、食器などの着色に用いる顔料、柔らかさを利用した記録用の石版還元力(錆びやすさ)を利用し酸化したワインから酸味を取り除くワイングラス、融点の低さを利用した水道管など金属の接着剤(はんだ)など。
石版は他の記録媒体が普及するにつれ、水道管は4世紀末以降のキリスト教の普及によって製造が中止されますが、他の用途ではその後も使われ続けます。

 この水道管が11世紀に復活したことで再び鉛の需要は増加。
13世紀にはステンドグラスの材料としても用いられるようになり、更に需要は増加します。
1,439年には鉛板を用いた活版印刷機も発明されますが、これ以降鉛の中毒性が認識されていくように。
当時の遺体の蓄積量から、中世期の奇形、死産、不審死などの多くはこの鉛中毒、特に経口摂取となるワイングラスが原因ではと見られています。

 これを受け現在では極力鉛を用いない、用いても人体に接触、摂取されない形を採るなどの工夫が為されています。