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ガラス/硝子 Glass(英)/Verre(仏)/Vetro(伊)/Glas(独) |
・ | 組成が網目状であるため、結晶のように特定方向に割れやすいということがない。 |
・ | 組成が均一であるため、不純物がない状態ではそれ単体で色を持たない。 |
・ | 極めて鋭利にできる(先端径は結晶の大きさが最小となるが、非晶質ではそれが0になる)。 |
・ | 融点で一気に融ける(結晶固体は部分的に液体となりその間温度が変化しない)。 |
・ | その他熱伝導率、電気伝導率、屈折率、強度など。 |
日本語 | 語源 | 補記 | |
ガラス | オランダ | Glas | ゲルマン祖語で「輝くこと」を意味する「Glōana」→ゲルマン祖語で「ガラス」を意味する「Glasa」。 |
硝子 | 明治政府 | 硝石を用いることから。 | |
ビードロ | ポルトガル | Vidro | 江戸時代における通名。 インド・ヨーロッパ祖語で「水のような」を意味する「Wed-ro-」→ラテン語で「ガラス」を意味する「Vitrum」。 |
ギヤマン | オランダ ポルトガル | Diamant Diamante | 「ダイヤモンド」の意。 ダイヤを彫り道具として彫刻を施した高級なガラス細工を指す江戸時代の呼称。 |
玻璃 | 中国 | 玻璃 | 仏教における七宝の1つで、正しくは「水晶」の意。 |
瑠璃 | 朝鮮 | 琉璃(유리) | ガラス工芸品の古称。現代日本では「ラピスラズリ」を指す。 |
(切子) | 日本 | 切り粉? | 「カットグラス(回転砥石で装飾を施したガラス製品)」の江戸時代の呼称。 |
(クリスタル) | 英語 | Crystarl Glass | 透明な鉛ガラスを指す「クリスタルガラス」の略。 |
発祥時期と地域 | 手法 | 補記 |
後期旧石器時代 (紀元前3万年前〜) | 黒曜石を叩き割って整形 | 石器の一種。 ナイフ、斧、槍、矢じりなどに。 |
紀元前7,500年頃 アシクリ・ホユク遺跡(トルコ) | 黒曜石を研磨して整形 | 黒曜石で作られた世界最古の工芸品(ブレスレット)。 現代でないとおよそ不可能な技術が用いられており、オーパーツに指定。 |
紀元前4,000年頃 エジプト、メソポタミア | 火で珪石の表面を融かす | 石を玉石に変え、ビーズとして使用する。 |
紀元前2,300年頃 シリア・メソポタミア | 植物灰などを用い 珪砂の融点を下げる | 「アルカリ石灰ガラス」、「ソーダ石灰ガラス」、「ソーダガラス」などと呼ばれる。 植物灰(に含まれるカリウムやマグネシウム)のほか、ナトロンなども使われる。 |
紀元前1,600年頃 シリア・メソポタミア | 耐火粘土で成型 | コアガラス: 芯とする粘土に融かしガラスを纏わせ、固めた後粘土を除去する。 型押し法: 粘土の型に融かしガラスを押し付け、形や模様を作る。 モザイク法: 凹と凸、2つの型で成型する。現在のプラスチック成型でも使われている。 |
紀元前17世紀頃 メソポタミア南部バビロニア | 鉛をガラスの材料に | ソーダ石灰ガラスと併せ、ガラス製造のレシピが記された石版が出土。 |
紀元前11〜8世紀頃 中国 | 白鉛鉱と毒重石を材料に (鉛バリウムガラス) | メソポタミアからの伝来品か、それを真似たものか、独自発祥か。 学者の間でも意見まとまらず。 |
紀元前5〜3世紀頃 中国 | 〃 | 確実に中国で生産されたとされるガラスの始まり。 この時点で既に本格始動。 |
紀元前3〜1世紀頃 日本 | 日本にガラス伝来。 | |
紀元前1世紀頃 ローマ帝国のポンペイ | ならした砂の上に 融かしガラスを流し板状に | 世界最古の窓ガラスがポンペイ遺跡(現イタリア)から発見。 分厚く不透明。採光用。 |
紀元前30年頃 シリアのフェニキア | パイプで吹いて成形 「吹きガラス技法」 | 鉄パイプをストローのようにして融かしガラスに息を吹き込み、風船を膨らませる要領でガラスを成形する。 現在、一般的によく知られる伝統技法。 |
紀元前1〜紀元後3世紀頃 日本 | 日本でガラスが生産されていた遺跡あり。 | |
4〜7世紀頃 シリア | 遠心力でガラスを板状に 「クラウン法」 | 吹きガラスで作った風船の反対側に別の竿(ポンテ)をつけて、パイプを外す。 パイプのあった所の穴を広げ、その後ポンテを回して遠心力で円盤にする。 これにより平らな板ガラスが作れるが、ポンテの跡が残る問題が。 |
9世紀頃 フランク王国(現ドイツ) | カットガラス装飾 (ステンドグラス) | ロルシュ修道院で用いられていたステンドグラスの破片が現存する最古。 8世紀にイスラム圏で生まれたラスター彩色により着色。 |
1,450年頃 イタリアのムラーノ島 | 酸化鉛をガラスの材料に (クリスタルガラス) | 酸化鉛を用いた無色透明のガラス。現在の主流。 透明にできるだけでなく、溶融温度も下がる。 |
1,670年代 イギリス | 〃 | 同上。独自発祥。 |
1,670年〜1,690年頃 ボヘミア(現チェコ) | 木灰をガラスの材料に | 「カリクリスタルガラス」「カリ石灰ガラス」「カリガラス」などと呼ばれる。 現地でソーダ原料を賄ったものだが、結果として透明度の高いガラスに。 |
1,856年 イギリス | 高温のガスで融かす 「シーメンス法」 | 1,600℃の水素ガスで金属シリコンから高純度のシリコン(ケイ素)を得る方法。 大量生産が可能になる。現在の主流。 |
1,893年 ドイツ | ホウ酸をガラスの材料に (ホウケイ酸ガラス) | ホウ酸を混ぜて融点と強度を高めたガラス。 耐熱ガラス。硬質ガラス。 |
1,950年代 イギリス | 液体の上に流し板状に 「フロートガラス」 | 融けた金属の上に融かしガラスを流し込んで板状に成形する方法。 現在の板状ガラスの主流。 |
1,970年 ドイツ | 化学薬品で溶融 「ゾルゲル法」 | 有機溶剤で溶かすことで、高温を必要としないガラス溶融法。 ただし気泡を抜くために1,000℃は必要。 |