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バラモン教/古代ヒンドゥー教
Brahmanism(英)/Brahmanism(仏)/Brahmanism(伊)/Brahmanism(独)

ヒンドゥー教
Hinduism(英)/Hindouisme(仏)/Induismo(伊)/Hinduismus(独)

 バラモン教は、アーリア人の間で信仰されてきた自然崇拝(ペルシア神話/イラン神話)に、インドの先住民族であるドラヴィダ人の思想が融合して形成されていったもの。
ゾロアスター教とは親を同じくする兄弟宗教にあたり、後のヒンドゥー教の親宗教にあたります。

 当時のバラモン教には名前がなく、最高神も特に定められていません。
Brahmanism」および「バラモン教」という名称は紀元前500年頃に成立したカーストと呼ばれる身分階級制度(下記)、その頂点となる司祭階級「ブラーフマナ」より便宜的につけられたもの。
このブラーフマナを音訳した漢語「婆羅門」が日本に伝わり、それを音読みしたものが「バラモン」となります。

階級摘要
ブラーフマナ司祭神聖な職に就くことができる。最高権力者。
クシャトリヤ王侯貴族王族、貴族、政治家、武人
ヴァイシャ平民一般的な職業に就くことができる人々。
シュードラ奴隷一般人が嫌がる汚れ仕事にしか就くことができない人々。
(ダリット)不可触民バラモン教徒/ヒンドゥー教徒の庇護を受ける以外で生活できないそれら信徒。
(シュラマナ)僧侶ブラーフマナ出身者以外の僧侶。
ブラーフマナ以外の身分者がバラモン教/ヒンドゥー教を離れ、仏教僧、ジャイナ教僧となった者たち。

 この身分制度に反発するように、同紀元前500年頃に非ブラーフマナ階級から仏教ジャイナ教が派生します。
うち仏教は特に多くの支持者を得ることとなり、危機感を覚えたバラモン教は民間宗教を取り入れて支持者を拡大、ヒンドゥー教へとその姿を変容させます。
バラモン教がヒンドゥー教に完全に置き換わったのは、4〜5世紀の頃とされます。

 ヒンドゥー教では、バラモン教で主要だった神々が各地の守護神とされ、一方バラモン教では脇役だったブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァが三大神として再定義されます。
うちブラフマー信仰はその後廃れ、ヴィシュヌとシヴァが二大神とされ現在に至ります。
なおブラフマーは宇宙の創造神、ヴィシュヌはその宇宙を維持する神、シヴァは宇宙の寿命が尽きた時に世界を破壊する神とされます。