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ヴァンパイア
Vampire(英)/Vampyre(古英)/Vampire(仏)/Vampiro(伊)/Vampir(独)

 吸血鬼伝説は神話や民間伝承も含め数多く存在し、そのため語源にも諸説あります。
リトアニア語の「ウェンピィ(Wempi(飲む))」+トルコ語の「ウバー(Ubyr(魔女))」。
ギリシア語の「Vam(血)」+「Prien(飢えている)」。
セルビア語の「ヴァンピール(Vempir(飛ばない人))」。
ロシア語、ポーランド語、スロヴァキア語、ウクライナ語の「ウピール(Upyr(翼ある亡霊))」。
など。
初めて「Vampyre」が使われたのは、1,732年。
「飛ばない人」「翼ある亡霊」からも伺えるように、本来は鳥や蝶、蛾などの有翼有翅亜人を指していました。

 現在の基礎となったのは、ルーマニアの伝承より。
ルーマニアは1世紀〜12世紀に渡って、異民族の流入や侵略に遭い見舞われた地域です。
外の宗教や文化との接触で免疫のない伝染病が広まり、その原因を吸血鬼ヴァンパイアの仕業と考えるようになりました。

 当初のヴァンパイアは知性のない凶暴な悪魔で、殺害相手を同じヴァンパイアにするというだけのものでした。
それが時を経るにつれ、様々な特徴を兼ね備えるようになります。
・魔力を持ち不老不死ヴィクトリア朝時代(1,837〜1,901)のイギリスにて。
十字架が苦手ヴァンパイアとされたジル・ド・レエ(ジャンヌ・ダルクの相棒)が、十字架の前で懺悔
白木の杭で心臓を刺すと死ぬ“実在のヴァンパイア”「串刺し公」ヴラド・ツェペシュ(※)のエピソード。
・太陽光を浴びると滅ぶヴァンパイア研究者のヘルシング教授の「太陽光を浴びると魔力を失う」というのを起因として、その後製作された映画『ノスフェラトゥ』(1,922)、『吸血鬼ドラキュラ』(1,958)により。
にんにくについては、目下のところ不明です。

名君として知られる、15世紀のルーマニアの伯爵。ドラキュラのモデル。
オスマン・トルコ侵攻の折、囚人を生きたまま串刺しにて街道にて見せしめとし、戦意を殺がせたのが「串刺し公」の由来です。

 ヴァンパイアを殺す方法は、現在一般に語られている太陽光、白木の杭を除いては、人間との混血児ダンピールの手にかかるというものがあります。