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Salt(英)/Sel(仏)/Sale(伊)/Salz(独)

 広義の化学的な「えん」は、酸とアルカリ水溶液中和した際に生成される固形物。
狭義の「しお」は、その内の塩化ナトリウム(NaCl)を一定割合以上含む結晶体。日本の定義では40%以上。
食用にされる天然塩でおよそ80%以上で、精製塩(食塩)では塩単体の純度(※)で97%以上と1,985年より国際的に定義されていますが、国により多少前後します。
本記事ではこの狭義の「しお」について説明します。
ごま塩ならごまを除いた塩のみで見て。

 塩(塩化ナトリウム)は人体に必要不可欠な物質で、体格や気候、生活スタイル(ナトリウムを排出するカリウムの摂取量や汗の量)などにもよりますが、普通に生活するなら最低でも1日に3g以上(目標摂取量は約5g)必要となります。
ゆえに人類の生存は水と同様塩の存在が必要不可欠となり、流通や交通が発達していない有史以前では海水、岩塩、塩湖水などが得られる地域での居住前提となりました。
そして塩は殺菌作用があるため、保存技術の乏しかった時代では保存料としても重宝されました。
それらの重要性と保存性から塩が通貨として用いられていた例も珍しくなく、現在「給料」を意味する英語「Salary」もラテン語の「Sal(塩)」→「Salarium(通貨塩)」に由来します。

 塩水から塩を得るには水分を飛ばすだけの熱量気化時間が必要となります。
などの人工的なによって行うことも可能ですが、雨の少ない日照りの強い地域で行う方が遥かに低コストで済みます。
例えば日本は周囲を海に囲まれているため塩を無際限に得られるように思われがちですが、多雨多湿であるため輸入に頼った方が低コストとなります。
そのため食用塩の自給率は85%である一方、工業用も含めた塩全体では85%を輸入に頼っています。


 このように人間には必要不可欠な塩ですが、摂り過ぎもまた毒となります。
しかし減塩が声高に叫ばれた結果今度は必要摂取量に達しない人が多々見られるようになり、なおも過剰摂取を続ける人と併せて正しい知識を周知させることが新たな課題となっています。