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吟遊詩人
Bard(ゲール)/Bard(英)/Barde(仏)/Bardo(伊)/Barde(独)
Troubadour(英)/Troubadour(仏)/Trovatore(伊)/Trobador(独)
Trouvère(英)/Trouvère(仏)/Troviero(伊)/Minnesänger(独)
Minstrel(英)/Ménestrel(仏)/Menestrello(伊)/Minstrel(独)

 「吟遊詩人」は、明治時代にトルバドゥールを表す訳語として作られた語ですが、その定義は曖昧です。
現在では主に、叙事詩風刺歌曲を歌いながら遍歴する楽曲家を指す言葉として使われます。

 以下に、主な吟遊詩人の例を記します。

バード(バルド)
 古ケルトの神職の1つで、ドルイドから分離した下位職。
伝承や神話を琴の音に乗せて語る他、王の風刺(良くも悪くも)を町に広めるなどした存在。
英雄クー・フーリンの物語や、アルスター伝承などの祖。

トルバドゥール
 11世紀末〜13世紀末の南フランスで活躍したシンガーソングライター。
その殆どが王侯貴族で、主に騎士道や宮廷の恋愛をテーマにした歌曲を手掛けた。
自作の曲をジョングルールに歌わせることも。

トルヴェール
 トルバドゥールに教えられ広まった、北フランスの宮廷に仕える音楽家。
トルバドゥールの曲を模倣する他、英雄叙事詩なども歌った。

ジョングルール
 フランスを中心に各地を遍歴した人々で、「旅芸人」や「大道芸人」の訳語の方が適当な職業。
農民の副業なども多分に含まれ、地位的には物乞いと同じ扱いの底辺の存在。
主にトルバドゥールの作った曲を歌い、自ら作曲することはあまりない。

ミンストレル/メネストレル
 宮廷お抱えのジョングルール。
ラテン語で「召使い」「奴隷」を意味する「ミニステリアリス(Ministerialis)」が元になっており、地位的にはジョングルールよりは上になるものの、底辺に近いことには変わらない。
「宮廷に迎えられるほど人気のジョングルール」といった感じで、既存の曲を歌う他にも、自ら作曲したりもする。