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メイス
Mace(英)/Masse d'Arme(仏)/Mazza d'Arme(伊)/Streitkolben(独)
モルゲンステルン
Morning Star Mace(英)/Étoile du Matin(仏)/Stella del Mattino(伊)/Morgenstern(独)
80cm〜100cm、2,000g〜3,000g
フレイル/殻竿
Flail(英)/Fléau d'Arme(仏)/Mazzafrusto(伊)/Kriegsflegel(独)
モーニングスター/スコーピオンテイル
Morning Star(英)/Scorpion(英)
60cm〜200cm、1,000g〜3,500g

 メイスは殺傷力を高めるため頭部の形状を工夫した鈍器。
紀元前では棍棒と並ぶ主要な武器でしたが、当時の素材では大した威力を得ることができなかったこともあり、革鎧や金属製の刃物の発達に伴い歴史からその姿を一旦消します。
その後再び歴史上に現れたのは、十字軍が活動する11世紀〜13世紀末。および板金鎧が活躍する15、16世紀。
この頃になると硬く鋭利な金属製の頭部を作製できるようになっており、特に刃物が通用しない板金鎧に対して有効な武器でした。


 フレイルは農具を武器として発展させたもので、おもりを鎖で繋いだような構造をしています。
棒状のものは長さの異なるヌンチャクといった形状で、威力を増すために打撃部分がスパイクになっている例が多く見られます。
加速がつく分メイスより威力は増しますが、その分扱いには多少熟練が必要です。
フレイルもメイス同様、十字軍や対板金鎧用に用いられました。


 モルゲンステルンは、13世紀のドイツで作られた星型(金平糖型)の頭部を持ったメイス。
日本ではフレイルタイプのものを英語読みの「モーニングスター」として扱う例が多いですが、それを指す「Kettenmorgenstern(=Chain Morning Star(英))」は当時ほとんど使われることはありませんでした。
なお、この星型頭が3つついたフレイルは特に「スコーピオンテイル」と呼ばれます。

 余談ですがこれらの鈍器類は「血を流さない武器」という理由から聖職者が持つ武器として採用されたと言われます。
この話はヘイスティングズの戦い(1,066年、イングランド)を描いたタペストリーにて、司教がメイスを持った姿で描かれていることに起因するのですが、しかしこれは職権を表すための杖であるという見方もあり、上記理由の明確な証拠とは必ずしもならないようです。

 ゲームなどでよく見る「僧侶は剣を装備できない」というのは、上述の話に由来するものです。
いずれにせよゲーム的には「剣よりも攻撃力の劣るメイス類までしか装備できない」とした方が都合が良いため、その理由づけとして「宗教上の理由」というのは便利であったようです。
「非力だから」とされることも多いですが、剣より鈍器の方が遥かに腕力を必要とするので、これは誤りです。