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船艇…あらゆる船の総称。一般には「船」がその意味で。
Vessel(英)/Embarcation(仏)(/Imbarcazione e Nave(伊))Wasserfahrzeuge(独)
※「Watercraft」ないし「Marine Vessel」が船の総称と辞書にはあるようですが
  「Watercraft」は主にモータースポーツ用の舟艇を。
  「Marine Vessel」は「Marine(海の)」がつくこともあり船舶を実際は指すようです。

舟艇…人力だけでも動かせる程度の小型船。
│├舟/小舟…船体が短い。
│└/方舟…船体が長い(延ばした舟/長方形の舟)。
Boat(英)/Bateau(仏)/Imbarcazione(伊)/Boot(独)

船舶…人力以外の動力を必要とする中型&大型船。
│├船/……「」が元(旧字)で、「公」は「大きい」の意。
│└…………海洋航行可能な大型船。これで渡来すると「来」。
Ship(英)/Navire(仏)/Nave(伊)/Schiff(独)

艦艇装甲(監)を持った船舶&軍事用の舟艇の意。
  ├軍艦………補給や偵察用なども含めた軍事目的の船艇全て。=艦艇
  └(戦艦) ……戦闘能力を持つ船舶。俗に艦艇軍艦の意でも。
  Warship(英)/Navire de Guerre(仏)/Nave da Guerra(伊)/Kriegsschiff(独)
  Battleship(英)/Navires Cuirassés(仏)/Nave da Battaglia(伊)/Schlachtschiff(独)

 水中を含む水域を航行するための乗り物。
そのままで安定する船体と、前進するための推力、および方向を変更するためのを備えたものが条件とされます。
ただの手漕ぎでも推力の役割は果たせるので、あとは漕ぎ手である人が乗って安定して浮くことができればそれは立派な船となります。

 飛行艇や水陸両用車なども船として使うことができますが、これらはあくまで水に浮くことができる飛行機/車であり通常は別カテゴリーとされます。
また飛行船や宇宙船のように慣習的に船と呼ぶものもありますが、これらも通常は含みません。

 船はその用途などにより様々な種類がありますが、そのうち主に渡航、輸送、軍用に焦点を絞った船の歴史を下表に記載します。

船の歴史
形状名称発祥時期と地域補記
いかだいかだ
Raft
有史以前
世界各地
浮力を持つ素材を繋ぎ合わせただけの舟。丸太や竹などの他、草を編んだものも含む。
素材と構造の都合上、現存するものは極めて稀。
ボート丸木舟/くり舟
Dugout( Boat)
紀元前6,000年
世界各地
丸のままの丸太か、半分に割ったそれを舟型にくり抜いた舟。複数パーツのものも含む。
世界各地に現存する最古の丸木舟はいずれも紀元前6,000年頃のもの。
ボート葦舟
Reed Boat
紀元前5,000年頃
クウェート
紀元前4,000年頃
エジプト
草を編んで作ったいかだの一種。
現存する左記以外では紀元前10,000年頃のアゼルバイジャンの壁画が最古。
セイルボートダウ(船)
Dhow
紀元前5,000年頃
クウェート
1本マストに紙製の三角帆を持つ木造舟。「ダウ」は「船」の意で「ダウ船」は誤り。
いわゆる「ヨット」だが、本来その語は大型レジャー艇を一般に指し「Sailboat」が正。
紀元前4,000年頃にはナイル川、アラビア海、インダス川などで交易に使用。
ガレー船ガレー船
Galley
紀元前3,500年頃
エジプト
三角帆を持つ中型の手漕ぎ帆船軍艦として開発。
左記は設計図のみの可能性も。確実に使われたのは紀元前3,000年頃から。
紀元前1,200年
〜紀元前900年頃
フェニキア
海洋貿易都市として地中海東岸で発展。
ノアの方舟ノアの方舟
Noah's Ark
紀元前2800年頃
旧約聖書に登場する、人類を洪水から救ったとされる船。アララト山で発見されたものが現物とされる。
聖書の記述の時点で船の黄金比(※1)で作られていることが明記されている。
造船の歴史でこの黄金比が意識されるようになったのは、20世紀のタンカー以降。
ジャンク船ジャンク船
Junk
紀元前220
〜200年頃
中国
西洋の船にある竜骨(※2)がなく、複数の気密船室で構成された水密構造船。
波や破損に強く積載能力が高く、大航海時代にはガレオン船よりも速度が出た。
積載能力を上げようとすると横に広げるしかないという欠点もあったが、蒸気船が登場するまで輸送船として長く使われた。現在も観光船として。
スペインの宣教師フランシスコ・デ・ザビエルがインド経由での日本の渡航にも使用。
ロングシップロングシップ
Longship
793年〜1,066年
ノルマン
1本マストに収納可能な四角い帆を持つ細長い舟。
頑丈な素材を合材とし、特殊な流線構造に仕上げた極めて性能の高い舟。
長さがあるためそれなりの人数が乗船可能で、浅瀬でも進むことができる。
キャラック船キャラック船
Carrack
1,400年頃
地中海
ガレー船にロングシップの特徴(収納可能な四角い帆と流線形状)を組み込んだ中型船。
幅と長さの比が3:4程度で、マストは3〜4本。全体的に丸い印象を持つ。
大量輸送に適した大きな船倉を持つ、大航海時代前期を代表する船。
キャラベル船キャラベル船
Caravel
1,440年頃
ポルトガル
3本の三角帆のみを持つ小形のキャラック船。
キャラック船よりも少人数で動かせ、小回りも利くので用途に応じて使い分け。
ガレオン船ガレオン船
Galleon
1,520年頃
スペイン
キャラック船を基に改良された船。マストは4〜5本。最初期のもので3本。
幅と長さの比が1:4と長く、よりスピードが出て積載能力も上だが転覆しやすい。
砲塔が備えられており、後の世界の戦艦の基礎に。大航海時代中後期を代表する船。
1.627年には日本でも建造。
木鉄交造船1,678年〜
イギリス
の発展によりの生産量が増えたことで船体材料に。
当時は竜骨(※2)や肋骨など一部に使われる程度だが、これにより船体がより大きく頑丈に。
なお装甲として船体をコーティングする例はこれ以前にも。
潜水艇潜水艇
Submersible
1,775年
アメリカ
軍事投入された初の水中船。人力の1人乗り。
失敗例や真偽不明の資料も含めると1,562年まで遡れる。
蒸汽船蒸気船
Steamboat
1,807年
アメリカ
蒸気機関搭載船の初の成功例。これを境に様々な船に蒸気機関が取り付けられる。
ただしエンジンが用いられたのは港湾内のみで、外洋では従来通りの帆走
黒船(1,853年)もこの蒸気船で、鉄製のイメージがあるが実際は木製。
鉄船鉄船
Iron Steamship
1,822年
イギリス
初の総金属船「アーロン・マンビー号(Aaron Manby)」。
は木材より重いが少ない材料でも頑丈にできるため同じ重量でもより大きく頑丈に。
鋼船鉄船
Great Iron Ship
1,843年
イギリス
初の総金属大型船「グレート・ブリテン号(SS Great Britain)」。
鋼船
Steel Ship
1,856年〜
イギリス
の発展によりを大量生産できるようになったため船体材料に。
少し前に鉄船の技術が完成していたこともあり、鋼船は一躍スタンダードに。
潜水艦潜水艦
Submarine
1,863年
フランス
動力を用いた初の潜水艦「プロンジュール(Plongeur(仏))」。
これにより飛躍的に大きく(艇→艦)、かつ速力が出せるように。
内燃機船内燃機船
Motor Ship
Motor Vessel
1,892年
ドイツ
ディーゼルエンジンが開発され、大型船舶も動力で動かせるように。
タンカータンカー
Tanker
1,902年
アメリカ
初の液体輸送タンク船「トーマス・ローソン号(Thomas W.Lawson)」。
この時点で既に船の黄金比(※1)に近い比率で作られている。
原子力潜水艦原子力潜水艦
Nuclear
Submarine
1,954年
アメリカ
原子力を動力として用いた初の潜水艦「ノーチラス(USS Nautilus)」。
速力が上がったほか、これまで短距離しか移動できなかった航行時間が3ヶ月と飛躍的にアップ。
※1長さ:幅:高さ=30:5:3。
真横に転覆しても自動的に元に戻る、船が最も安定する比率とされる。
※2船体中央に縦に走る補強材。船の背骨。