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プラチナ/白金
Platinum(英)/Platine(仏)/Platino(伊)/Platin(独)/Platino(スペイン)

 に似た白色光沢を持つ貴金属。
と並んで化学的に安定していることが特長で、装飾品のほか工業製品などにも多用されています。
中世ヨーロッパでは用いられていなかった金属ですが、創作物では高位の武具の材料や高額貨幣などで頻出します。

 現存する最古のプラチナ製品は紀元前700年頃のエジプトの「テーベの小箱」で、純度80%以上。
プラチナは1,768℃と融点が高く当時の技術で融かすことはできませんが、酸化しない特性から陶磁器のように粉末状にしたものを焼き固めるという「粉末冶金」という手法を用いることで加工が可能(スポンジ状になるので軽くて脆い)。
これ以前のファラオの副葬品からも発見はされていますが、単にの中に知らず混ざっていただけの可能性もあり、意図的に利用していたかは不明。

 これより後でプラチナが再発見されるのは1,492年のアメリカ大陸の「発見」以降のメキシコなどで。
に似ているが融かすことができず、捨てられる金属として1,557年のイタリアの著書にて紹介されています。
その後1,748年著の『南米諸王国紀行』(スペイン)にて改めて紹介され、この頃は2,200℃まで溶融できるコークス高炉が開発されていたこともあり、以降ヨーロッパでのプラチナの歴史が始まります。

 「プラチナ」の語源はスペイン語で「ピント川の小さな銀」を意味する「Platina del Pinto」より。
Plata」が「」で「Platina」で「小さな」の女性形。これを基に「元素名はラテン語の中性名詞で」という慣例に従い「Platīnum」となり、中性名詞のないスペインにおいてはこの訳語として男性名詞の「Platino」が現在用いられています。
一方「白金」はオランダ語で「ホワイトゴールド(≠プラチナ)」を意味する「Witgoud」の日本語訳(1,822年著『遠西医方名物考補遺巻八』より)。