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船首像 Figurehead(英)/Figure de Proue(仏)/Polena(伊)/Galionsfigur(独) |
船の
先端に取り付けられた
木像。
いつどこで始まった風習かは不明ですが、古代ギリシアやエジプトなど、古くからヨーロッパを中心とした広い範囲で用いられていたことが確認されています。
その目的は文字のなかった時代においての
船のネームプレート代わりと、船主の力の大きさを
誇示するためとされています。
当時
船首像のモチーフとされていたのは主にその土地土地で速さや力強さの
象徴とされていた動物で、それ以外では神話の神々を彫ったものが使用されていました。
一般にイメージされる女性像が多用されるようになったのは、カリブ海に
海賊が出没するようになって以降(1,630頃〜)。
海賊らはその性質上
岩礁の多い場所を
航行する必要があり、そこに住まい
船を
沈没させると恐れられる
セイレーンの
誘惑を打破するべく、その影響を受けない女性を像の形で
船に乗せたとされています。
よく「
船は女性だから女性像を取り付ける」などとも言われますが、例えば先述の神話の神々などでは男性神の像の方が多いですし、そもそも
船を女性形(女性名詞、She、彼女など)で呼んでいるのは英語とその影響を受けた日本ぐらいで、一般に欧米諸国では女性と限られてはいません。
このように女性像は
難破回避のお守りとしての役割を有しており、古代の動物についても
生贄の意味合いがあったのではという考えがあります。
それらにより
航海の安全を
祈願するものとの認識が強いこの
船首像ですが、実際は重量増加やバランス悪化を招くとして
船の安全を
脅かすものでした。
使用する材質を選んだり法整備が整えられるなどで伝統の保存が試みられましたが、第一次世界大戦(1,914〜1,918)で
艦船の効率化が図られたのを境に急速に
衰退していきました。
しかしその代わりに
懐サイズのマスコットが、失われた
船首像の代わりの
お守りとして今も用いられています。