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古代エジプト宗教/エジプト神話
Ancient Egyptian Religion(英)/Religion de l'Égypte Antique(仏)/Religione Egizia(伊)/Altägyptische Religion(独)

 紀元前3,000年頃から以後およそ3,000年に渡って古代のエジプトで信仰されてきた宗教、およびその神話体系。
期間も長く範囲も広大であるため、その概要は多岐に渡り、かつ各地で様々な>差異が見られます。
主神も各地で様々ですが、後に主流となる太陽派では太陽神ラーがそれとされ、原初の海から誕生した最初の神とされています。

 古代エジプトでは非常に高い天文学(占星術)の技術が存在し、太陽派というのはそれら勢力の中の一派。
主流となるのはクフ王(在位紀元前2,589年〜紀元前2,566年)以降の時代で、それより後の王ではカフラー、メンカウラーなど名前に「ラー」がついているのが特徴的。
なお紀元前3,000年頃には既に、一年がおよそ365日と1/4であることが突き止められていました。

 古代エジプト宗教には、太陽のほかにも天や地、月、ナイル川など様々な自然を擬人化した神のほか、戦争や臓器の守護神、魔術や時の神格化など様々な神が存在します。
古代エジプトの王であるファラオはその神の子孫であるとされ、死したファラオは既存の神と一つになると考えられました。
なおファラオ以外でも、偉大な功績を上げた一般人もまた既存の神と一つになったとされて神格化されることがあります。
例えば医術で功績を上げた人は、医療の神と同一視されるといった具合です。

 古代エジプト宗教では、ファラオの魂は死後星々の世界へ行くとされ(上記)、それ以外の魂は死した肉体の中で生き続けるとされていました。
しかし紀元前2,000頃にその概念が変化し、死した魂は死後の世界へ行くとされるようになります。
まず死した魂は心臓を天秤で計量され、それにより罪人と認められれば完全に死亡、でなければいくつもの関門を経た後、楽園であるアアルにて転生できるとされました。
なお魂は肉体が無事である限り存続できる(※)とされ、そのため死後も肉体の保存が重要であると考えられました(→ミイラ)。
人間は肉体、魂(Ba)、精霊(Ka)で構成されるとされ、食物から精霊(≒栄養)を得ることで肉体と魂の結合、および魂の活動を維持できるという考えから。

 3,000年という長きに渡って育まれてきた古代エジプト宗教でしたが、後にエジプトを支配したローマ帝国によって、その国教となったキリスト教へと置き換えられていきます。
古代エジプト宗教の最後のとなったフィラエ島のイシス神殿閉鎖されたのは、西暦550年のことでした。