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黒騎士(/暗黒騎士)
Black Knight(英)/Chevalier Noir(仏)/Cavaliere Nero(伊)/Schwarzer Ritter(独)

 主君から叙勲を受けていない、または主君に忠誠を誓っていない騎士
叙勲(騎士の位を授ける儀式)を受けることが騎士の条件なので、前者は(騎士の格好をした)傭兵と同義となります。
これら黒騎士は中世イギリスのテキストにてその姿が確認できますが、創作物のみの存在で実在はしなかった可能性があります。

 主君に認められていないということは、領地やその収入、従者などを持たないということで、その結果甲冑の手入れを満足に行うことができません。
その中で、甲冑錆びを防ぐために黒く塗りつぶしたことが、黒騎士の名の由来となります。

 この領地を持たない黒騎士──フリーランスの傭兵は一見便利に見えますが、放っておくと敵に回られる可能性もあるため高額で入札を行わなければならなかったり、封建制によって成り立っていた当時の社会ではそのシステムに疑念を抱かせる可能性をも孕んでいたため、主君にとっては頭の痛い存在でした。
そのため黒騎士は、不名誉な存在とされました。

 一方主君に忠誠を誓っていない騎士についてはそれ自体は珍しくもありませんが(※)、その中でも紋章の描かれた装備(主に盾)を黒く塗りつぶしたり、そもそも装備しないといった者らが後者の黒騎士に該当します。
またこれら以外でも、単に黒塗りの鎧を着ていたり、活躍の仕方やその性格などから「黒騎士」と呼ばれた人物が歴史上に存在します。
騎士忠義に厚いと思われがちですが、実際は契約分の仕事をこなすだけというのが一般的です。

 創作物では「黒い鎧を着て、戦闘能力に長け、個人プレーを好む」という扱いが多く見られます。
これら特徴は、いずれも上記「傭兵の黒騎士」に由来すると見て良いでしょう。
なお類語に「暗黒騎士」という言葉がありますが、こちらは「道を外れた(暗黒面に堕ちた)、業の深い騎士」という扱いとなり、少々ニュアンスが異なってきます。