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ダーインスレイヴ(古ノルド)(/ダインスレイフ(日本普及表記)/ダインスレフ(誤訳))
Dáinsleif(古ノルド)(/Dainslef(誤訳))

 『スノリのエッダ』に登場する、デンマーク王ホグニ(Högni)の所有する剣。
「Dáinn」は人名、「-sleif」は「遺産」で、「ダーインの遺産」の意。恐らくこの剣を鍛えたドワーフの名であろうと言われていますが、原典にその辺りの記述はありません。
時代背景から形状はバイキングソードに準じるものと思われますが、これも原典に記述はありません。訳書では、「片手でも扱える大剣」と表記しているものもあります。

 黄金の首飾り「ブリーシンガメン(Brisingamen)」を欲したフレイヤは、それを作った4人のドワーフと寝屋を共にすることでこれを得ました。
フレイヤを側室としていた主神オーディンはこれに怒り、ブリーシンガメンを取り上げた上で、返す条件としてフレイヤに1つの課題を提示しました。

「それぞれ20人の王を従える2人の王を、永遠に戦わせろ(※)」

 フレイヤは数々の戦績を上げ王位を奪還したデンマーク王ホグニに「一度抜くと相手の命を奪うまでに戻らない魔剣」ダインスレイフを渡し、後にホグニの盟友となったセルクランド(北アフリカ)の水軍王ヘジン(Hedin)に暗示をかけて、ホグニの妻を殺し娘を攫わせ両者が争うように仕向けました。

 暗示から醒めたヘジンは事情を話し和解を求めましたが、既にホグニがダインスレイフを抜いてしまっていたために両者は戦闘に。
そして何度死んでも蘇る呪いがかけられていたために、そのまま永遠に戦い続けることになってしまいました(※)。
キリスト教徒が両者を殺して戦いを終わらせる」とされている場合も。


 この剣はかつて『ニーベルングの歌』に登場するファフニールの宝物の中にあったもので、グラムの所有者シグルズを殺し手に入れたホグニの剣であると言われますが、これはホグニが同名であったために生じた拡大解釈で、『ニーベルングの歌』にそのような剣は登場しません。
「ダインスレフ」という表記も同書による間違いです。