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アスカロン
Ascalon(英)(/Askalon(英))

 イギリスの作家リチャード・ジョンソン(Richard Johnson)著、『七勇士(The Famous History of the Seven Champions of Christendom)』(1,596年)に登場する聖ジョージ(Saint George)の剣。
聖ジョージとはキリスト教の聖人ゲオルギウス(Georgius(ラテン))のことで、『七勇士』はそれにまつわる創作の1つ、イタリアの作家ヤコブス・デ・ウォラギネ(Jacobus de Voragine)著の『黄金伝説(Legenda Aurea)』(1,267年頃)が基盤になっています。
ただし伝説自体は、それより以前にあったものと見られます。

 アスカロンはサイクロプスが優れた金属を鍛えた剣で、幼少時に聖ジョージを攫った魔女から授かったものとされています。
アスカロンの語源はイスラエルの都市アシュケロン(Ashkelon)、またはラテン語でエシャロット(玉ねぎ)を意味する「アスカロニクム(Ascalonicum)」とも。
「Askalon」という綴りは第3章でのみ用いられているもので、恐らくは誤字

 物語ではエジプトに50フィート(15.24m)のドラゴンがおり、町を襲わない代わりに生贄を差し出すよう要求していました。
その順番が王女に回った折に聖ジョージが町を訪れ、王女との婚姻を条件にドラゴン退治を引き受けます。
聖ジョージは見事これを討ち取り、ゆえにアスカロンは「竜殺しの剣(ドラゴンスレイヤー)」として知られるようになりました。

 物語の設定は同系の著書によって異なり、例えば『黄金伝説』での舞台はリビアのシレナとなっています。
ドラゴンを討ち取った(生け捕りにした)のも槍で、現存している宗教画の多くがこれに倣っているために、しばしばアスカロンは槍、または槍状の剣と誤認されます。
王女と出会ったのも町ではなく生贄に捧げられたで、婚姻の約束はなく(史実の聖ゲオルギウスも生涯独身)、捕らえたドラゴンを殺す(この際に名称不明の剣を使用)代わりにキリスト教改宗するよう、町の住民に要求します。