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紡績
Spinning(英)/Filage(仏)/Filatura(伊)/Spinnen(独)

紡錘/つむ
Spindle(英)/Fuseau(仏)/Fuso(伊)/Handspindel(独)

糸車紡ぎ車
Spinning Wheel(英)/Rouet(仏)/Filatoio ad Alette(伊)/Spinnrad(独)

(綿糸)紡績機
(Cotton-)Spinning Machinery(英)/Machine à Filer( le Coton)(仏)/Macchina Filatrice( di Cotone)(伊)/(Baumwoll-)Spinnmaschine(独)

 紡績とは、羊毛綿花などの短い繊維を束ねねじって、1本の長い糸にする作業のこと。
は両手でこすり合わせることで縄を綯うことができますが、それと同じことを細い繊維で行ったもの。
なお、絹糸のように初めから長い繊維を束ね太くする作業のことは製糸といい、溶かした化学物質を冷やして繊維にすることは紡糸と呼びます。

 現在確認されている最古の紡績による糸は、およそ2万年前(旧石器時代)のもの。
初期のものは完全に手作業で綯っていったと見られていますが、じきにおもりとした石の回転による慣性を利用するようになったとされます。
これを発展させたものが木製の棒におもりをつけた紡錘であり、新石器時代のものが現存する最古として見つかっていますが、残りにくい素材であることから実際はそれよりも更に昔からあったものと見られます。

 この紡錘を横向きにし、おもりではなく踏み台の上下運動を回転力に変換して用いるようにした装置が糸車です。
糸車は安定した高速回転を得ることができる上両手も自由になり、更に紡いだ糸を自動的にボビン(糸巻き)に巻き取らせることができるなど様々な利点がありました。
確認できる最古の糸車は1,237年に描かれたバグダッドのイラストで、以後1,740年代までこれが使われることになります。

 1,738年にはイギリスのバーミンガムで回転速度を一定に保つシステムが開発され、これにより動力が人力から外部エネルギーへと移行し、また1台の糸車で何本もの糸を紡げるようになっていきます。この機械式糸車は紡績機と呼ばれます。
1,742年にロバ、1,771年には水力が用いられ、この時点で紡績工場が建設されます。
1,828年にはイギリスで蒸気式紡績機が開発され、同時期より全自動での紡績も可能になります。
当初の全自動紡績では細い高品位の糸が作れなかったため利用は限られましたが、1,850年代までにはそれも改良され、ほぼ全ての工場にて置き換えが完了しました。