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マナ
Manna(英)/Manne(仏)/Manna(伊)/Manna(独)
Mana(ポリネシア諸語)

 マナ(Manna)は、出エジプト記(聖書の一種)に登場する食物の名前で、ヘブライ語で「これは何だろう」、あるいはアラム語で「これは植物のシラミである」を意味する言葉。
モーセ率いるユダヤ人の一行が荒野で飢えないようにと、40年の間神から与えられ続けたものとされています。

 その外見は霜ぐらいの大きさの白いうろこのような外観をしており、蜂蜜の味がするフレーク状のものであったと記述されています。
このマナは夜の間に地面に降り注ぎ、太陽の熱で溶融し、翌日が安息日である場合を除いて1日でが涌いて腐ってしまうとされています。

 このマナの正体についての諸説は以下の通り。

候補概要
Mennuエジプトで「食料」を意味する語で、それ以上の意味はないとする説。
砂漠など乾燥地に生息する落葉小高木「ギョリュウ」の樹脂
太陽の熱で溶け、蜂蜜のように甘い性質を持つ。
しかし栄養学的に問題があるため、実際にこれを主食とすることは恐らく不可能とされる。
甘露アブラムシやカイガラムシの、虫体被覆物と呼ばれる分泌物。
糖を主食とするため、余分なそれ(+他の栄養素)を体外に排出したもの。
乾燥したそれは白い砂のような結晶になる。
特に上記ギョリュウの樹液を吸ったカイガラムシのそれと考えられ、現在の最有力説。
マンナゴケチャシブゴケ科の地衣類(菌類と藻類の共生生物)。
砂漠の風に乗って空から落ちてくることがあり、現地の人々の食料となっているもの。
ミナミシビレタケ幻覚キノコ(マジックマッシュルーム)の一種。古くから宗教的儀式に用いられる。
多幸感充足感をもたらすことができる上、食欲減衰効果も得られる。
長期に渡る旅においてそういったものが必要だったという観点から。
イナゴ空から降ってくる食物という観点から。
マンナマメ科の多肉植物。その樹液食欲減衰効果を持つ。


 一方マナ(Mana)は、全てのものの中に存在すると言われる超自然的な力を指します。
これはポリネシアの宗教に起源を持ち、先のマナ(Manna)との関係はありません。
しかし語感が似ているためにこれらは混同され、MannaをManaと誤って綴る例もしばしば見られます。

 ラリー・ニーヴン(Larry Niven)著の『魔法の国が消えていく(The Magic Goes Away)』では、マナは自然界に溶け込んでいる、魔法を使う際の力の源として描かれています。
この影響を受けてか、以降の創作物でもこのように定義されている例が多く見られます。