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ソロモンの鍵
Key of Solomon(英)/Clavicula Salomonis(仏)/Chiave di Salomone(伊)/Schlüssel des Salomon(独)

 古代イスラエル王ソロモン(紀元前1,011年〜紀元前931年)が書き残したという名目で後年に書き記された魔道書
14世紀から15世紀のイタリアで書かれたものが原典と見られていますが、それ自体は現存しません。
あるいは15世紀にギリシアで書かれたものがその更に原典である可能性も指摘されています。

 魔道書ソロモン王悪魔召喚の秘儀を息子レハブアムに残すために記したものとされており、死後は墓まで持っていくよう指示していたそれが後年に伝わったのだということになっています。
しかしこの魔道書キリスト教において異端扱いであったため完本としては存在せず、上記原典や当時の写本はいずれも断章という形で各地の魔術師らが分割保管していました。

 後にそれら断章のうちの7冊を基に再編成された完本が出版され、通常は「ソロモンの鍵」というとこれを指します。
正しいタイトルは『ソロモン王の鍵(The Key of Solomon the King)』(1,889年)で、イギリスの魔術師マグレガー・メイザース(Macgregor Mathers)によるものです。
内容は悪魔召喚の儀式とその手順、特に魔法陣や道具の作り方などの図解が主となっています。

 またこれとは別に、『ソロモン王のゴエティアの書(The Book of The Goetia of Solomon The King)』(1,904)というものも存在します。
これは5つの断章を合本とした『レメゲトン(Lemegeton)』(17世紀頃)、その第1章『ゴエティア(Goetia)』のみをイギリスの魔術師アレイスター・クロウリー(Aleister Crowley)が抜き出して再編集したもので、そのため単に「レメゲトン」「ゴエティア」などとも呼ばれます。
こちらはソロモン王使役したとされる72の悪魔の性質やその使役の仕方を解説したもので、読み物としての魅力の高さから、「ソロモンの鍵」というと一般にはこちらが連想されるようです。

 なお上記『ソロモン王の鍵』は『ソロモンの大いなる鍵(The Greater Key of Solomon)』(1,914)という名で。
『ソロモン王のゴエティアの書』は『ソロモンの小さな鍵(The Lesser Key of Solomon)』(1,916)という名でそれぞれ海賊版がアメリカのオカルト商L・W・デ・ローレンス(Lauron William de Laurence)によって出版され、現在それらはこちらの名で呼ばれることも多いようです。
なおこれらは元となった本に対し、自社商品の宣伝が随所に付け加えられています。

『ソロモン王の鍵』→『ソロモンの大いなる鍵』
『レメゲトン』⊃『ゴエティア』≒『ソロモン王のゴエティアの書』→『ソロモンの小さな鍵』