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ランス
Lance(英)/Lance de Cavalerie(仏)/Lancia da Giostra(伊)/Lanze(独)
300cm〜400cm、4,000g〜10,000g

 ラテン語の「Lancea(軽い槍)」を語源とする、騎乗用の片手槍。
片手槍といっても片手で普通に扱えるような代物ではなく、鎧の脇腹に取り付けられたランスレフトと呼ばれる留め金に固定して、馬の勢いをもってして相手に突進する、というものです。

 騎馬に長槍というスタイルは古くから存在し、7世紀より用いられていたそれもランスと呼ばれます。
この初期のランスはバンプレートという傘状のがついていること以外普通のロングスピアとほとんど変わりがないのですが、精錬技術や武器の発達に伴う鎧の強化に対抗すべく、その形は次第に三角錐状に変化していきます。
おおむね16〜19世紀にかけて使用されたものが、今日イメージするランスとなります。
なお日本の創作物では実物よりも太く描写されることが多いようですが、現実問題としてはあまり太いと重くなりすぎて振るうことはできなくなります。

 威力だけで言えば間違いなく史実上最強の武器で、騎馬による突進というパフォーマンスもあり、相手に与える心理的効果は計り知れないものがありました。
 とはいえ弓矢や銃器にとっては格好の的であり、また、パイクによる槍ぶすまの前では全くの無力となります。
使用者に高い技術が求められることは言うまでもありませんが、馬もまた、訓練された軍馬でなければ敵陣に突進するなど到底できません。
など弱点も多い、まさに諸刃の剣といった武器です。