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ケルピー
Kelpie(英)

 スコットランドの水域、特にネス湖周辺に伝わる水陸両用の馬。
姿は一般的な馬とほぼ変わりませんが、ひづめが逆であるという特徴を持ち、尾が長めである傾向があります。
一般的な体色は黒ですが、同スコットランドのスペイ川では白馬として伝えられるほか、近年のイラストなどでは暗い水の色をイメージした水色、紫、緑といったものが目立ちます。
水の中を泳ぐイラストでは人魚のような下半身を持つ(下肢がない)ものが目立ち、陸上にいる場合でも尾がそれといったケースも見られます。後者は日本の創作物で顕著です。
ケルピーは普通の馬と交雑することもでき、生まれた子馬は通常より短い耳を持つ普通の馬となり、潜水する能力はないとされます。

 ケルピーはハンサムな男性に化ける能力を持ち、巧みな話術で女子供を誘っては水の中に引きずり込むとされます。ごく稀に女性に化ける例もあります。
人間体でも唯一ひづめだけは馬のままとされ、それがケルピーを見破る手段となります。
をつけた馬の姿で乗り手となる人間を誘惑するともされ、いずれの場合でもひきずり込まれた人間は内臓を抜かれ陸にうち捨てられ、残りの肉を食されます。

 ケルピーは普通の馬より大きな馬力を持ち、そのため労働力として捕獲される場合もあります。
また先述のは人間を馬に変える魔力を持つとされ、こちらも捕獲の目的となります。
捕獲には十字架つきの投げ縄が用いられます。

 ケルピーの起源は生贄捧げた暴れ川と考えられていますが、人間を誘惑したりといった特徴は子供らに対する教訓拠るところが大きくなっています。
すなわち子供を川などに近づかせないようにするですとか、若い女性を知らない男性について行かせないためといった具合です。
それら教訓を子供らに与えるにあたり、以前よりあった水獣の言い伝えが利用されたというわけです。