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(赤鬼の/赤毛の)エティン (Red )Ettin(英) |
イギリスの伝承に登場する怪物。古ノルド語で「巨人」を意味する「ヨトゥン(Jötunn)」の古英語読み「
Eoten」より。
ジョセフ・ジェイコブス(Joseph Jacobs、1,854〜1,916)によってまとめられ、アンドルー・ラング(Andrew Lang、1,844〜1,912)が『あおいろの童話集(THE BLUE FAIRY BOOK(1,889))』に収録しました。
以下はその
概要。
あるところに
貧乏な
未亡人と2人の息子がいました。
幸せになるため旅に出るよう告げられた長男は、
餞別の
パンを受け取ると家を後にしました。
やがて丘の上の
城に
辿り着いた長男は、そこで頭が3つある怪物と出会います。
頭はそれぞれ1つずつの質問を投げかけ、答えられなかった長男は
木槌で石柱に変えられてしまいました。
兄が残していったナイフで
異変を
察知した弟は、自らもまた旅に出ました。
旅の途中に出会った
老婆が
パンを求めるのでその要求に応えると、
老婆は怪物の
謎掛けの問いの答えと、1本の
杖を弟に渡しました。
やがて怪物と
遭遇した弟は3つの問いに答え怪物を無力化し、斧でその首を切り落としてしまいます。
その後弟は
杖で兄を戻し、囚われていた他の人々も解放しました。
囚人の中にはスコットランド王マルコムの娘がおり、弟は彼女と結婚。
兄にも
貴族の娘があてがわれ、一家は幸せになりました。
赤毛で
木槌を持っている以外の身体的特徴は特に記されていないようですが、
挿絵では一般に4m強程度の巨人として描かれます。
稀に小人の場合もあります。
「頭は2つで、それぞれ半身ずつ独立して動かしているため
愚鈍」という認識がされがちですが、それは恐らく『
D&D』を起源とする、二次創作の改変です。
本来のエティンは前述のように、人間に
謎掛けを出すほど知能が高く、魔法の力も有しています。
エティンの
城には
頭が2つある犬らが放し飼いになっており、2つ頭というのはこれと
混同された可能性があります。
あるいは単に、
簡略化によるものかもしれません。