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アウトロー/無法者(/ならず者)
Outlaw(英)/Hors-la-loi(仏)/Fuorilegge(伊)/Gesetzloser(独)

 法の庇護下から追放され、死人または獣と同等の存在と見なす刑罰。およびその対象となった人物。
ゲルマン古法のアハトが恐らく起源で、法として明文化されたのは古代ローマ帝国が初。
イギリスでも慣習法として採用されていました。
そのイギリスでは1,879年まで(スコットランドのみ1940年代まで)、イギリス入植地のオーストラリアのニューサウスウェールズ州では1,976年まで、このアウトロー制度が存在していました。

 国や時代により差異はありますが、基本的人権を剥奪される上、周囲の者も宿や食事などを提供することを禁じられる点で概ね一致します。
アウトローを保護した者もまたアウトローとされますが、例えば知らずに保護してしまった場合でも、保護したアウトローを殺すことで免除となります。
よって通常はアウトローに接触したら無視するか逃げるか殺すかとなるわけですが、前述の通りアウトローは死人または獣と見なされるため、殺しても罪に問われることはありません。

 アウトローは死刑と同等の最高刑ですが、イギリスでは裁判所への召喚を無視して逃げるなどの逃亡者に対してもこのアウトローが課せられ、その際生死不問手配書(Wanted Dead or Alive)が出回ることになります。
すなわち逃げた犯罪者を市民に狩らせるシステムとして、このアウトローが用いられていました。

 イギリスの有名なアウトローとして、ロビン・フッドの民話があります。
これは圧政を行っていた国の裁きから逃げ民衆のために戦った義賊として知られ、彼の働きが後にイングランド王の権限を制限するマグナ・カルタの制定に繋がったとされています。
このようにアウトローは、法の側が悪というケースも有り得ます。

 現在「アウトロー」というと「法を“無視”したならず者」というイメージが強いですが、それは上記イギリスの諸処とそれを元とした西部劇、および反社会的な音楽の流行の影響などが強くあります。
しかし本来は上記の通り刑罰であり、その人物の性格を現すものではありません。