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ブロッケンの妖怪/ブロッケン現象
Brocken Spectre(英)/Spectre de Brocken(仏)/Spettro di Brocken(伊)/Brockengespenst(独)
光輪/グローリー/御来迎御光後光
Glory(英)/Gloire(仏)/Gloria(伊)/Glorie(独)

 霧や雲に映る自身の影を中心として、虹のような光輪が現れる光学現象。影も含めて「ブロッケンの妖怪」と呼びます。
なお「ゲシュペンスト」「スペクター(Specter(米))」は「妖怪」とも訳されますが、正しくは実体のない存在である「幽霊」「亡霊」を指して用います。
「妖怪」という訳は恐らく、山田悦次郎著の『自然界の秘密』(1,906年10月)によるものと思われます。

 ブロッケンの現象は、自身を挟んで後方に直射光、前方に霧や雲があり、かつ光源から霧の間までに拡散させる要素(別の霧や木々など)がない、もしくは光源が近くにあり、それほど拡散の影響が出ない場合(後述の車のヘッドライトの例)に観測できます。
自然界では高地(雲より高く、開けた場所)に出現しやすく、ドイツのブロッケン山で頻繁に目撃されたことがこの名の由来になっています(最古の記録で1,780年)。
その他では飛行機の影側の窓から眼下の雲を見下ろしたり、霧や人工的なスモークの中で車のヘッドライトを用いるなどでも観測することができます。

 虹と同じく、屈折率の違いでが分解される現象であるため同じようなものに見えますが、両者は分解の仕組みが異なります。
虹は粒子の大きな水滴(10μm以上)の内壁を反射することで起こる現象で、水滴が大きくても小さくても、人の目に入るの角度(虹の見かけの大きさ)は常に一定です。
一方ブロッケン現象はが非常に細かい粒子(5μm前後)の脇を通る際に分解される現象(ミー散乱)で、粒子の大きさによって光輪の見かけの大きさは前後します(最大でも虹より遥かに小さい)。