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バイコーン
Bicorn(英)/Bicorne(仏)/Bicorno(伊)/Zweihorn(独)
シシュヴァーシュ
Chichevache(古仏を元とする英造語)

 バイコーンとは、「2本角」の意味。
「1本角」の馬ユニコーンとは、基本的には角の本数が異なるだけの亜種です。
しかしユニコーンは、本来2本角だったのが1本角として扱われるようになったらしい経緯があるため、これらは全く同一のものであった可能性も否定できません。
時にこれらは対として扱われ、聖のユニコーンに対する邪のバイコーンという位置付けが為されます。


 一方14世紀のイギリスでジェフリー・チョーサー(Geoffrey Chaucer)によって著された『カンタベリー物語(The Canterbury Tales)』には、これとは別のバイコーンが登場します。
人間の夫婦を食べる人食い人面牛で、を「バイコーン」、を「シシュヴァーシュ(Chiche(古仏):痩せた、Vache(古仏):雌牛)」といいます。

 バイコーンは良い夫らを食べ、シシュヴァーシュは良い妻らを食べるとされます。
するとバイコーンは肥え、シシュヴァーシュは痩せ衰えていきます。
この物語は飢饉の時代を背景としており、「良い妻=自分は食べずに夫に食べさせる女」を例えたものです。
また、肥えた雌牛は豊かな土地の象徴とされます。