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貴族の義務/ノブレス・オブリージュ
Noblesse Oblige(仏)/Nobility Obliges(英)/Nobiltà Obbliga(伊)/Adel Verpflichtet(独)

 「身分の高い者は恩を施す」の意。
英訳の「Obligate」には「恩恵を施す」の他に「(道徳・法律上の)義務を負わせる」という意味があるため、通常「貴族の義務」と訳されます。
またことわざとして、「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」とも。

 身分の高い者や裕福な者ほど、そうでない者への奉仕活動慈善事業を要求されるという考えで、1,835年、オノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)著の『Le Lys Dans la Vallée(谷間の百合)』で初めて登場します。
この頃のフランスは7月革命(1,830年)の直後、つまり不満募った国民によって国王が倒された時代で、支配者層を中心とする上流階級社会的地位が衰えていました。
概念自体は古くからあったものの、それがこの時代に盛んに実践されるようになったのは、弱体化した彼らが自らの地位を保つためというのが、理由の1つとしてあったと考えられます。

 現在もこの風習は受け継がれ、富裕層がボランティア等の社会活動をすることは常識とされています。
法的なものではないので怠って罰則はありませんが、その代わり社会的信頼を失うことは言うまでもありません。
特に政治家などの支配者層は政治生命に直結するので、それだけに重要な意味を持ちます。