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かまいたち/鎌鼬
つむじ風/旋風塵旋風辻風
Dust Devil(英)/Tourbillon de Poussière(仏)/Diavolo di Sabbia(伊)/Kleintrombe(独)

 かまいたちとは、日本の雪国各地に伝わる妖怪のこと。
つむじ風に乗ってやってくるとされ、地面から30cm程度までにかけて痛みと出血を伴わない裂傷をもたらすとされます。
「構え太刀」が鈍ったものと考えられていますが、その語感からカマキリのような前腕を持ったイタチの姿で描かれます。
また、語「かまいたちは」上記現象やつむじ風そのものを指しても用いられます。本項ではこれについて説明します。

 つむじ風は一見竜巻に似た現象ですが、以下の点でそれぞれ異なります。
なお英語では細長いものを特に「Whirlwind」と呼んで区別する場合もあります。

 原因発生地域形状
竜巻上空の大気が不安定になるなど温暖な気候帯の陸または海上空に向かいながら回転
つむじ風地表が部分的に暖められるなど陸上のみで発生そのまま回転

 なお先述のようにかまいたちは裂傷をもたらすものとして一般に知られていますが、実際にはその程度の風で裂傷がもたらされることは有り得ません。
「真空状態になって」と説明される場合もありますがそのような状態になることはありませんし、仮になったとしてもそれで裂傷を生じることもありません。
かまいたちが裂傷をもたらすという言い伝えも、日本のみで伝えられているものです。

 ではなぜそのような言い伝えが信じられたかというと、雪国に伝わるという点から風ではなく寒さ、すなわち「あかぎれ」で皮膚がひび割れたのがそう伝えられたか、あるいはつむじ風に乗って飛んできた細かい砂などの飛来物が切り傷をもたらしたのではないかと考えられています。
痛みを伴わないのも、寒さで感覚が麻痺していたからと説明づけられます。

 しかし以前は「風によって皮膚が裂かれる」と説明されていたこともあって、創作物では今なおその性質を持ったつむじ風や突風、およびそれを生じさせる能力や道具などが登場します。